手負いの黒狐

ワルツの傷は深い。五百円玉の大きさに毛が無くなっていて、むき出しの地肌に爪痕なのか、歯型なのか傷がある。猫同士の怪我とは思えない。もう少し大きい動物、犬と猫って、喧嘩するだろうか?いやうちの猫は相手にしないと思うけど。だとしたら何だろう。気になっていた。
昨日、うちの庭に黒い狐が現れたそうだ。私は見逃したが。しかもその狐は怪我をしていて、ヒョコヒョコした足取りで横切って行ったと言う。
それを聞いて、私は猫と狐の壮絶な戦いを想像した。合点のいく傷になる。有り得ない事ではないと思う。私の妄想がはじまった。
十数年前の雪が積もった日、茶色い動物が雪景色のなか、林のほうに一直線に走って行くのを見た事がある。ふくらんだ尻尾で狐とわかった。初めて見る狐の走る姿にみとれた。後日、その話を友達にしたら、なんて田舎に住んでるのと驚かれた。
狐だけでない、イタチもいるようだ。
園芸店にはふきのとうも売っていた。