20年前のハッピークリスマス

クリスマスには、サンタさんがよい子にプレゼントしてくれる。そうすると子どもは期間限定でよい子になる。何が欲しいかあらかじめリクエストしておいて、よい子の査定により、クリスマスの朝枕元に届いている。それが我が家のならわしだった。
坊ちゃんが幼少の頃、バブル期だから、子どもへのプレゼントもけっこうしたように思う。その年の希望は、変身するガンダムみたいなおもちゃだった。いつもこっそり買って用意しておくのだが、一緒にデパートについて来てしまった。わからないように買うつもりだったが、支払いのところを見られてしまった。欲しかったおもちゃの箱に気づいた坊ちゃんは[僕が欲しかったの買ってくれるんだね]と大喜びだった。しかたない、[いい子だから、早いけどパパからのプレゼント]とつげた。
そうとう大きな箱だが、しっかり手に持って喜色満面でエレベーターに乗り込んだ坊ちゃん。下っていくなかで、[あ、そうだ。僕が欲しかったの買ってもらったから、サンタさんにうちに来なくていいよって言っとかなくちゃ] 私、[うん、番号調べて、サンタさんに電話して断っておくね]
乗り合わせた人々の忍び笑いが伝わってきたのは言うまでもない。

羽田のビックツリー