父と秋刀魚

hanasakaoba2008-09-01


柚子がピンポン玉大になると約束したように新サンマが出回ってくる。
かつてオート三輪のサンマ売りを追いかけて、バケツでサンマを買った時があった。冷蔵庫のない時代だから、焼いたあとは煮魚にして食べた。蒲焼みたいでおいしかった。
焼魚・煮魚が朝食の定番献立だが母は用意に忙しい。秋刀魚を一尾焼いた場合、頭・骨・内臓等処理しなければ食べられないから、子どもには手におえない。そこで、父の出番になる。尾頭付き?の秋刀魚を食べられるように、きれいにしてくれた。“マイホーム・パパ”なんて言葉はない頃の、子煩悩な父の一面。
明治生まれの祖母は世が世であればとよく口にしたが、大正生まれの父はあまり語ることはなく、生き方も不器用。時代背景もあったろうが、家族を思えば、言いたいことも謂わず往ってしまった。
秋刀魚で想う父のこと。